安直に引き受けてはならない米本社が売却する日本マクドナルド株式

 経営不振が続く日本マクドナルドに対し、その49.9%を出資する米マクドナルド本社が持ち株を最大33%売却する方針で、日本の大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めたと報道されています。

 本誌は以前から日本マクドナルだけに限らず、外資系飲食チェーンが本社に支払うロイヤリティなど法外な負担金に対し、それを最終的に負担させられている日本の消費者が享受できるメリットが全く釣り合っていないと感じています。

 日本マクドナルドは総売り上げに対して3%のロイヤリティを米本社に支払い(総額で年間120億円ほどになります)、食材は米本社が独占供給しているためどれだけ割高であるかもわからず(実際に中国のとんでもない企業から仕入れていた)、218億円もの最終損失だった2014年12月期にも1株=30円の配当を支払い(米本社の受け取りが20億円)、2013年8月に米本社から派遣されたカサノバCEOがトンチンカンな経営を続けています。

 つまりこれらの負担は(カサノバCEOのトンチンカンによる損失も含めて)すべて日本の消費者と、売り上げの4分の1をピンハネされている日本人フランチャイズオーナーに押し付けられています。

 本誌は2014年10月8日付け「日本マクドナルドの業績下方修正に見る本当の問題点」、2015年1月9日付け「日本マクドナルド問題の本質」で、米本社の資本引きあげの可能性をはっきりと指摘していました。

 米本社は高額のロイヤリティや株式配当で当初の出資分(そもそも現金出資だったのかどうかも不明です)はとっくに回収しており、次のステップは日本マクドナルドにまだ残る現金(2014年12月末現在で286億円、流動資産なら485億円あった)をむしり取ってでも米本社保有分の自社株買いを強行させると予想していました。

 

 今回の報道は、さすがにそこまでではありませんが、単純に日本マクドナルドの現金残や流動資産が急速に枯渇してまだ日本の外食産業で最大級の売り上げと株式時価総額がある日本マクドナルドは、高値で売却できると踏んでいるだけです。

 ここからは本誌の推測ですが、米本社は筆頭株主の地位は譲っても(それでも拒否権が発生する33.4%以上は譲渡しないはずですが)、現在の総売り上げの3%のロイヤリティや食材の独占供給などのメリットは手放すつもりは全くないはずです。

 つまり米本社は、資本だけはあまり経営に影響がない範囲内で「おとなしい誰かに」譲渡し、独占オペレーターとしてのメリットはすべてそのまま確保し続けるつもりのようです。

 それでは、この状態で「手を挙げる」ところがあるのでしょうか?

 日本マクドナルドの2015年1~9月の連結決算は、営業赤字が208億円、最終赤字が292億円と巨額ですが、まだまだ店舗閉鎖に伴う費用計上が不十分で(フランチャイズオーナーに負債込みで押し付けた店舗は知らん顔で切り捨ててしまいます)実体の決算はもっと悲惨なはずです。

 ところが日本マクドナルド(コード・2702)の株価は、報道が出た昨日(12月22日)には231円安の2712円となりましたがまだ時価総額が3600億円もあり、133億円の最終黒字だった2012年度の平均株価・約2000円、125億円の最終黒字だった2013年度の平均株価・約2500円よりまだ高く、実体に比べて「大変に割高」に見えます。

 この状態で、しかも米本社が独占オペレーターの地位を確保するのであれば(そのつもりです)、この株価を基準にした譲渡に簡単に応じる海外のファンドはないはずです。

 そこで米本社は、最初から日本の大手商社をターゲットにしているはずです。実際は食材供給などのメリットがなく、もちろん日本以外の地域での営業展開などできるはずがなく、純投資としても大変に割高であり、大手商社としてもメリットは全くありません。

 ところが「おたくのライバルのA商社はいくらでも買うと言っていますよ」とか「海外のBファンドはこれくらい用意していますよ」などと焚き付けられて、とんでもない高値で買ってしまう大手商社(あるいはよくわかっていない日本の投資ファンドも組み合わせて)が出てきてしまう恐れがあります。

 まあ今でも最大1000億円くらいの投資案件で、しかも訳のわからない海外案件でもないため、あまり目くじらを立てる必要もなさそうですが、日本マクドナルドの存在とは、このままでは買い手(大手商社)だけでなく、日本経済、日本の消費者、日本の株式市場にとって何のメリットもありません。

 そうするとあるのは投資収益だけなので、徹底的に安くなるまで(もっとリストラが余儀なくなるか、もっとボロボロになるまで)放置しておくべきとなります。もし海外ファンドが比較的高値で買っていったら(買わないと思いますが)、同じようにもっとボロボロになるまで放置しておけばよいだけです。

 決して安直に手を出さないことです。