日銀の追加量的緩和の「効能」は剥げ落ちてしまった

 本日(1月20日)の日経平均は632円安の16416円(終値、以下同じ)となり、昨年末の19033円からたった11営業日で2617円(13.7%)もの下落となりました。

 本日の水準は、同じように中国経済の不安、上海株式急落、原油価格急落(と言ってもWTI価格で1バレル=37ドルが安値でしたが)に見舞われていた昨年9月29日の安値・16930円も下回り、昨年来の安値となってしまいました。

 また円相場も本日夕刻に一時1ドル=115.97円と、昨年1月16日につけた1ドル=115.85円以来の115円台となりました。つまり円相場も昨年来の「円高」にほぼ並んだことになります。

 直接の理由としては、昨日(1月19日)中国国家統計局が発表した2015年10~12月の実質GDPが前年同期比6.8%、2015年通年では前年比6.9%と「減速」していたからと報道されています。しかし中国経済は実際にそんな「高成長」だったはずはなく、特に人民元を下落させ始めた昨年8月以降は「もっと大幅に減速」していたはずで、足元では「マイナス成長」となっている可能性もあります。

 つまり日経平均は「明らかに粉飾している中国経済の成長率」にさえも失望したことになり、中国がもう少し正直な(真相に近い)数字を発表していたら大パニックになっていたかもしれません。

 ところで表題にある日銀の追加量的緩和とは2014年10月31日に「唐突」に発表されたもので、そこから「本格的に」円安と株高が加速していきました。追加量的緩和直前の円相場(円高)は1ドル=105.18円で、日経平均(安値)は14532円だったのですが、そこから公的資金を含む機関投資家の「狂ったような」外貨資産買いと日本株買いで2015年6月には1ドル=125.86円、日経平均(高値)が20868円となりました。

 さらにこの日銀の追加量的緩和をきっかけに、中国人民銀行やECBを含む数多くの中央銀行が追加金融緩和や量的緩和に踏み切り、世界的な株高となりました。

 今から考えると日銀が「唐突」な追加量的緩和に踏み切った2014年10月とは、FRB量的緩和が完全に終了して、そろそろ利上げが取り沙汰されていた時期だったため、米国の景気減速を和らげるため「日本に追加量的緩和を要請した」とも考えられます。完全に旧大蔵省傘下となった日銀も消費増税(当時は2015年10月から10%になる予定だった)へのアシストとなると考えたのでしょう。

 そのおかげもあってかNYダウも2014年10月の安値・16117ドルから、2015年5月には18312ドルの史上最高値まで上昇していました。

 

 また少し遅れて2014年11月から中国人民銀行が本格的な金融緩和に踏み切り、上海株式は2014年10月の安値・2290ポイントから、2015年6月には5166ポイントの高値となりました(2007年には6000ポイントをこえていたため史上最高値ではありません).

 そこから2015年8~9月にかけて人民元の下落をきっかけに中国経済の不安、上海株式の急落などで世界の株式は急落したのですが、まもなく中国が「小康状態」を取り戻したように見えると(実際は何も解決していなかったのですが)、世界の株式市場も昨年末にかけて安心して「かなり」回復していました。日経平均も昨年12月1日に20012円となりました。

 そこへ本年初めから(あるいは昨年末から)再度の中国経済の不安、上海株式の急落、さらには原油価格の一層の急落となり、日経平均を含めた世界の株式市場は急落しています。今回はFRBこそ利上げしていますが、日銀、ECB、中国人民銀行などはまだまだ金融緩和・量的緩和を継続しています。

 それでは中国経済、上海株式、原油価格などが「小康状態」となれば(いくらなんでもそのうち「小康状態」にはなるはずです)、日経平均は昨年末にかけてと同じように上昇し、円相場も円安となるのでしょうか?

 本誌は、昨年12月16日に「そろそろ円安終了?」、本年1月5日に「2016年の株式市場は波乱のスタート」、1月7日に「そろそろ円安終了 その2」などで、ハッキリと円相場と株式市場の「変調の予感」を書いていました。

 これは決して自慢しているのではなく、中国や原油価格が「小康状態」となっても、大幅な株高にも円安にもならないと強調しておきたいからです。

 つまり表題にあるように、日銀の追加量的緩和の「効能」がすでに剥げ落ちてしまっていると考えます。そうなると(すぐにという意味ではありませが)円相場については1ドル=105円台、日経平均については15000円割れまで視野に入れたレンジまで覚悟しておくべきと考えます。

 別に過激なことを言っているわけではなく、今回の日銀の追加量的緩和の「効能」が完全に剥げ落ちると、その辺のレンジに戻ってもおかしくないからです。

 じゃあ、日銀がさらなる追加量的緩和に踏み切ったらどうなのか?ですが、現在のように世界経済が収縮しているときには、総需要拡大策である金融緩和・量的緩和の「効能」はありません。同じように2%の物価上昇目標も無意味です。