小泉進次郎・自民党農林部会長の「危険な発言」

 大変に控えめに報道されていただけなのであまり知られていないようですが、ちょっと気になる話題です。

 本誌に初登場の小泉進次郎衆議院議員自民党農林部会長)ですが、もちろん本誌にも度々登場する(後述)小泉純一郎・元首相のご子息です。

 表題の「危険な発言」とは、農林中央金庫は農業従事者への融資が総資産の0.1%しかないため不要であるという「農林中金不要論」のことです。

 そもそも農林系金融機関は下部にある単位農協が農業従事者と貯金や融資の取引を行い、その上に各都道府県の信連(信用農業協同組合連合会)があり、一番上に農林中央金庫があります。こういう形態は農業関連だけではありませんが総称して系統金融機関と呼びます。

 つまり系統の最上部にある農林中央金庫は各農業従事者に直接融資していなくても全く問題ではありません。日銀は個人に融資していないから不要であると言っているのと同じで、小泉議員の全くの勉強不足です。

 しかしこの発言は、父親の小泉純一郎・元首相が「突然」言い出し、挙句の果てに衆議院を解散して、自民党の反対議員に刺客を送ってまでゴリ押しした郵政改革の農業版とも考えられます。

 小泉・元首相は何事にも「痛みの伴う改革」を呪文に日本経済を大不況のどん底に突き落とした戦犯ですが、この郵政事業に対しても「とにかく改革」と乗り出していました。

 しかしその「真の目的」は、民間に比べて明らかに優遇されていた郵便貯金と簡易保険だけを郵政省(当時)から切り離して旧大蔵省傘下に入れ、さらに収益性の高い両事業だけを完全分離・上場させて海外(米国のことです)に収益チャンスを提供するものでしかありませんでした。

 つまり郵政事業既得権益に手を突っ込む「改革」を錦の御旗にして、その既得権益を「そっくり」自分に近い旧大蔵省と米国に提供しようとするものでした。

 小泉・元首相は引退後も、脱原発代替エネルギー関連ビジネスの権益に目をつけ、細川・元首相まで都知事選に引っ張りだしましたが、さすがにこれは頓挫していました。

 直接親子で連携しているかどうかや、既得権益に手を突っ込むロードマップが完全に出来上がっているかなどは不明ですが、今度はご子息の進次郎氏が「農業改革」の入り口に立っているような気がします。

 そもそも郵政事業における郵便事業や、畑を耕して農作物をつくる農業の現業は、儲かるかと言えば儲かりませんが、日本全体を考えると絶対に必要な事業です。こういった事業を維持するために郵政事業では郵便貯金や簡易保険、農業では農林中央金庫の金融業務や共済の保険業務などからあがる利益で補填して全体が成り立っています。

 

 ところが(もう手遅れですが)郵政事業から儲かる郵便貯金や簡易保険だけを、(これからが要注意ですが)農業から儲かる農林中金の金融業務や共済の保険業務だけを切り離してしまえば、郵政事業や農業そのものが成り立たなくなってしまいます。

 考えすぎかもしれませんが、小泉進次郎自民党農林部会長(それなりの重要ポストです)の「農林中金不要論」とは、一般的に受け取られるイメージとは違い、儲かる農林中央金庫の金融業務を農業全体の補填から解放して新たな利権にするものと考えます。

 まさに父親の純一郎・元首相が郵政改革で書いたロードマップと全く同じような気がして、大変に不気味です。

 杞憂かもしれませんが、少し注意して今後の成り行きを見守ってください。

 小泉純一郎・元首相については、2014年1月10日付け「東京都知事選を巡る魑魅魍魎」、2014年3月24日付け「小泉純一郎が北朝鮮と交わした密約とは」だけでも読んでみてください。

 とくに後の記事は、書いた当時はかなり過激に書いたつもりでしたが、いま読み返してみると「大甘」だったようです。