オリンパス事件の光と影  その20

 「オリンパス新刊本はどうなった?」との問い合わせもいただいていますので、本日ここでご説明いたします。鴻海のシャープ買収は、新たに3500億円の「偶発債務」が出てきたようでまだまだ流動的であり、もう少し明らかになってから取り上げます。

 実はオリンパス新刊本(題未定)の原稿はほとんど出来上がっており、発売を「あるタイミング」に合わせようと準備していました。

 その「あるタイミング」とは、4月上旬に予定されていたドキュメンタリー映画「サムライと愚か者」の封切りで、オリンパス事件発覚のきっかけとなったウッドフォード元社長らが実際に出演しているようです。

 そもそもオリンパス事件ほど「その実態」と「世間の認識」に大きなギャップがある経済事件はありません。その大きなギャップは、ウッドフォードがたまたま目にしたFACTA記事を「自分の勢力拡大」に利用しようとして逆に解任され、その腹いせに内部資料を洗いざらい提供した先が海外メディア(FT)だったため事件化してしまったところから来ています。

 本誌は決してオリンパス損失隠しを容認しているわけではありませんが、ドキュメンタリー映画「サムライと愚か者」のHPに掲載されているプロット(構成)を読む限り「FACTA・ウッドフォード・FTが正義のために戦ったお蔭で、日本では絶対に明らかにならなかったオリンパス事件を暴くことができた」と描かれています。

 これではあまりにも一方的で偏った内容であり、そうでなくても実態が正しく認識されていないオリンパス事件が、ますます歪められたまま風化してしまうと強く感じました。

 本誌が書くオリンパス新刊本は、オリンパス事件を可能な限り公平な視点から書いており、ウッドフォードの行動も全く脚色することなくすべて客観的事実だけを淡々と書いてあります。それでも世間で認識されているオリンパス事件発覚の過程とは「かなり」違うはずです。

 確かにドキュメンタリー映画「サムライと愚か者」に描かれている内容はオリンパス事件の核心部分の1つであり、本紙のオリンパス新刊本でもかなり紙面を割いてあります。本誌の知り得る限りの事実を可能な限り公平な視点から書いてあり、たぶんドキュメンタリー映画とはかなり違った解説になっていると思います。

 ところが最近になって、そのドキュメンタリー映画のHPが突然閉鎖され、封切りも見送られてしまったようです。

 理由はよくわかりません。そもそもウッドフォードはオリンパスから1000万ポンド(15億円)の和解金をせしめ、オリンパス事件最大の「勝ち組」でありながら、さらにオリンパス事件をドキュメンタリー映画にして「もう一儲け」しようと考えていたのなら、大変に問題のある行動です。

 しかし本誌は、このドキュメンタリー映画に関してウッドフォードおよびその周辺の「もっと周到な作戦」を感じています。

 実はウッドフォードは1000万ポンド(15億円)もの大金をせしめておきながらまだ不十分だったのか、本年1月14日に新たにオリンパスに巨額賠償金を請求する裁判を英国で提起しているようです。

 そしてこのドキュメンタリー映画は英語版も作成されており、最初から新たに英国で提起する巨額賠償請求の「証拠」とするつもりだったと考えます。だから日本における興行収入など最初から期待しておらず、裁判前に「証拠」を日本で公開することも止めてしまったと考えます。

 オリンパスは、そのウッドフォードの訴訟内容を一刻も早く開示して、真剣に対処を考える必要があります。ここで対処を間違えると、英国の次に「巨額罰金ビジネス」の米国当局がいよいよ出て来る可能性があり、決して軽く考えてはいけません。

 本誌の書くオリンパス新刊本にも、また新たに付け加える内容が出てきたようです。

 またオリンパスよりはるかに巨額で会社ぐるみで悪質な損失隠しを続け、しかもいまだにウミを出しきっていない東芝についても、刑事事件化してもしなくてもオリンパス事件との比較で書くことがたくさんあるため、その顛末も待っています。

 何とかゴールデンウィーク前には発売にこぎつけたいと考えています。またまた遅れてしまい大変に申し訳ございません。