こんな状況で大丈夫なのか?と心配になる米国大統領選

 なんだかんだ言っても誰が次期米国大統領になるのかは、今後の世界の政治・外交さらには経済にとっても重要な問題となります。現在の世界の政治・外交がここまで混乱している大きな原因には、過去にちょっと記憶がないほど指導力のないオバマ大統領の存在があるはずです。

 洋の東西を問わず選挙というものは「振り子」のように振れるものであり、普通であれば米国の次期大統領は強くてリーダーシップのある人物が選ばれるはずです。ところが11月8日の大統領選挙(本選)に向けて民主・共和両党の候補者選びがすでに中盤を経過していますが、とくに野党(本来はオバマの失政を攻めるアドバンテージがあるはずの)共和党の候補者選びが混乱しています。

 3月22日のアリゾナ州ユタ州の結果を含めた段階で、ドナルド・トランプ候補の獲得代議員数は741名、テッド・クルーズ候補が461名、辛うじて踏みとどまっているジョン・ケーシック候補が145名となっています。

 マルコ・ルビオ元候補など、すでに撤退した候補が獲得した代議員数もありますが、とりあえず代議員の過半数(1237名)を獲得すれば7月18~21日にクリーブランドで開催される共和党全国大会で文句なく大統領候補に選ばれます。

 ところがここにきて共和党内部には、何とか全国大会までトランプの代議員過半数獲得を阻止し、全国大会で反トランプ勢力を結集させて逆転を狙おうとの動きがあります。

 というのもトランプは共和党であるものの選挙資金をすべて自前で賄っており、政治献金や共和党の組織協力も必要としていないため、共和党本流や共和党の支持団体の意向に沿った政治を行うわけではなく(行うはずがなく)、かなり都合が悪い大統領候補となってしまうからです。

 暴言が過ぎるというのは表向きの理由でしかありません。共和党本流及び共和党支持団体のためにならない大統領候補となるからです。

 ここで共和党本流とは基本的に南部・中西部の白人であり、共和党の支持団体とはキリスト教保守派、伝統的主要産業(軍需、石油、電力、鉄鋼、自動車、一部は違いますが金融・証券界)、退役軍人協会、全米ライフル協会などです。茶会(Tea Party)は本流の支持団体とは言えません。

 それでは獲得代議員数で第2位のクルーズ候補に反トランプ勢力を結集させるのかというと、クルーズもトランプほどではないものの右派で本流ではなく、やはり都合が悪いことになります。

 

 共和党本流候補としてマルコ・ルビオが想定されていたのですが、あまりにもひ弱で地元フロリダでもトランプに敗れて撤退してしまいました。ちなみにマルコ・ルビオはキューバ移民の息子ですが、オバマ大統領が進めるキューバ経済制裁解除に反対の急先鋒です。

 要するに反トランプで結集しようとしても適当な候補者がいないことになります。そこで下院議長になったばかりのポール・ライアン(2012年の大統領選挙では共和党の副大統領候補だった)を共和党全国大会で担ぎ出し、強引に大統領候補にしてしまうとの暴論もでていますが現実的ではありません。またポール・ライアンもかなりの右派で、金本位制復帰論者です。

 現時点ではトランプは最有力候補ではあるもののまだ「当確」ではありません。今後のスケジュールを見ても4月19日のNY州予備選(代議員95名)は比例配分方式なので決着はつかず、ほぼ総取り方式であるカリフォルニア州(代議員172名)などで予備選がある6月7日までもつれ込みます。

 今後はトランプ降ろしが声高になればなるほど結局はトランプを利することとなり最終的には逃げ切る(代議員の過半数を獲得する)と考えます。しかしこれからはもう共和党本流(支持団体全てから支持される)大統領は出て来ず、二大政党体制が崩れていくような気がします。
 
 一方で同じく3月22日の結果を含めた段階の民主党では、クリントン候補が獲得した代議員は1711名、サンダース候補は939人となっています。代議員の過半数は2382人ですが、民主党はすべての州が代議員を比例配分するため一度ついた差はなかなか縮まらず、すでにクリントンは「当確」です。

 ただ最終的にはサンダースが想定以上に追い上げると考えており、決してクリントンの「悠々逃げ切り」とはならないはずです。あまりにも露骨に選挙に勝つためだけに発言をコロコロ変えるからです。

 結局大統領選(本選)はクリントン VS トランプとなるはずですが、じゃあそこからどうなるのか?は、それぞれの政策なども見比べて8月頃に予想します。大統領選(本選)はその直前の米国の国内事情に大きく左右されるもので、また両候補の公約もここからさらに大きく変わるはずなので、今から予想しても無意味だからです。