東京オリンピック招致を巡る不正疑惑の「実態」

 2020年東京オリンピックパラリンピック招致を巡り、当時の招致委員会(理事長・竹田恒和IOC委員、現在は解散)がシンガポールにある実態の怪しいコンサルタント会社に2億3000万円もの資金を支払っていたことが明らかになってしまいました。

 そもそも東京開催の決定(2013年9月)当時の国際オリンピック委員会IOC)委員で、昨年ロシアのドーピングもみ消しに巨額賄賂を受け取っていたとして逮捕された国際陸連前会長のラミン・ディアク(セネガル)周辺を捜査していたフランス検察当局からの情報を、5月11日に英国ガーディアン紙が報道して発覚しました。

 このラミン・ディアクとは、長く国際陸連の会長を務め、IOC委員としてもアフリカ票を取りまとめられる実力者ともいわれる「正真正銘のワル」です。

 そして東京オリンピック招致委員会が2億3000万円も支払ったコンサルタント会社とは、このラミン・ディアクの息子であるパパマッサタ・ディアクの知人が代表ですが、シンガポールのひなびたアパートの一室に住所だけある完全に「賄賂受け取りのためのトンネル会社」です。

 また本年1月にはラミン・ディアクのドーピングもみ消しの調査委員会に、当時東京とオリンピック招致を争っていたイスタンプール招致委員会の委員がラミン・ディアクのもう1人の息子のカリル・ディアクに4~500万ドルの「協賛金」支払いを求められたが拒否したため、(支払った)東京招致に決まったと証言していました。

 要するにディアク一家はスポーツ利権に巣食う「極めつけのワル一家」だったわけですが、じゃあ何で東京オリンピック招致委員会がこんなワルに関わってしまったのでしょう?

 国会に招致された竹田恒和・招致委員会理事長(当時)は、このコンサルタント会社から売込みがあったため電通に照会したところ大変に実績のあるコンサルタント会社であることがわかり契約した。確かに招致成功にはコンサルタントの存在が不可欠で2億3000万円は正当なサービスの対価として支払ったコンサルタント料であり、新日本有限責任監査法人の監査も受けている(これはあまり関係がないと思いますが)と話しています。

 まあ苦しい「言い訳」です。

 東京オリンピック招致委員会は、2016年オリンピック招致には150億円もの巨額予算で臨み、あえなくリオ・デジャネイロに敗れたのですが、少なくとも18億円の使途不明金が出ています。

 2020年オリンピック招致はその反省もあってか半分の75億円の予算で臨み、招致できたためか実際には89億円までオーバーし、本件を含み8億円のコンサルタント料が計上されています。

 この招致予算とは企業の協賛金と開催する東京都の税金が半々ですが、2016年は招致できなかったためさすがに「コンサルタント料をたくさん支払ったのに招致できませんでした」というわけにもいかず使途不明金としてしまい、2020年は招致できたため堂々と計上したはずですが8億円というのは少なすぎます。もっとあるはずです。

 じゃあパパマッサタ・ディアクの関係するコンサルタント会社への支払いの効果があったのか?というと、全く関係がありません。もともとディアクの不良息子であるパパマッサタの「お父さん(ディアク)に口をきいてやるよ」といった話に乗っかってしまったことになります。

 じゃあこのパパマッサタを誰が招致員会に推薦したのか?というと、これは電通です。竹田恒和氏のいう「電通に照会した」ではなく「電通が紹介」したはずです。

 2020年東京オリンピックパラリンピック組織委員会は、会長が森喜郎・元首相、財布を握る事務局長が元大蔵・財務事務次官武藤敏郎氏、そして唯一の「マーケティング専任代理店」が電通です。

 そもそもオリンピックとは国際オリンピック委員会IOC)の巨大なライセンスビジネスであり、全ての協賛金、スポンサー収入、放映権などはすべてIOCが召し上げ、開催にその半分程度が還元されますが会場建設を含むすべての運営費は開催地の負担となります。

 そしてその「決して少なくないおこぼれ」に、日本ではスポーツ族議員、旧大蔵省、そして電通が「つかみ取り」を繰り広げるわけです。舛添・東京都知事はその輪に入れてもらえず、開会式を待たずに退場となります。

 これが2020東京オリンピックの基本構造です。そして今回出てきた不正疑惑は、そのほんの一端にすぎません。