日銀の金融政策に対する「思い切った」提言

 日銀の政策決定会合は今週の7月28~29日ですが、市場では追加緩和への期待が盛り上がっており、また日銀政策委員も任期切れの委員がどんどん「迎合するためだけの委員」に入れ替わっているため、本当に追加緩和となるかもしれません。

 本日は「追加緩和があるか?」の予想記事ではなく、日銀の金融政策に対する「思い切った」提言です。

 その前にここで追加緩和があるとすれば、それは現在年間80兆円の日銀保有国債純増ペースの拡大、マイナス金利政策のマイナス幅拡大、ETFREITの買い入れ枠拡大の組み合わせのはずです。ヘリコプターマネーの導入は並列的に議論する概念ではなく、必ずしもその意味が正しく理解されていないようですが、とりあえずは除外します。

 まず日銀保有国債純増ペースの拡大とは、現在の年間80兆円という純増ペースは2014年10月31日にそれまでの年間50兆円から増額(追加緩和)されたものです。

 その当時は10%への消費増税が2015年10月に予定されていたため、少なくともそれまでは円高・株安にならないための「期間限定サービス」だったはずです。ところがそこから10%への消費増税は2回にわたり計4年間も延期されて2019年10月になってしまったため、その「期間限定サービス」を最低4年間も継続することが必要となりました。

 仮に現在の保有国債純増ペースを2019年10月まで継続したとすると(実際は消費増税と同時に打ち切ることも不可能ですが)、その時点の日銀保有国債は短期国債を含めて650兆円と国債総発行残高の6割をこえ、同時に日銀当座預金残高も550兆円くらいになっているはずです。

 

 550兆円になる日銀当座預金残高のほうが問題で、それだけの資金が銀行から(もちろん国民の預金のことですが)日銀に吸い上げられて固定され、日銀の保有国債ファイナンスする(間接的に国債保有に振り向けられる)ことになります。

 もちろんこれで経済活動が活発化するはずがありませんが、仮に資金需要が出てきても銀行にはそれに応じる資金的余裕がなくなっていることにもなります。

 次にマイナス金利幅の拡大ですが、そもそも本年1月29日に「唐突に」発表されたマイナス金利政策とは、当時260兆円だった日銀当座預金残高のうち210兆円に従来通りプラス0.1%の金利を払い続け、たかだか10~30兆円(実際は10兆円に近い)にマイナス0.1%を適用し、残りは(以後の増加分も含めて)ゼロ金利にする歪(いびつ)なものでした。

 最大の問題は、この歪なマイナス金利政策で、すべての年限の国債利回りが大きく低下して10年国債までマイナス利回りが定着してしまったことです。日本経済は金利水準がいくら低下しても資金需要が出ず経済活動が活発にならないことが改めてわかってしまいました。

 つまりここでマイナス金利幅をさらに拡大しても、金融市場がさらに混乱(国債利回りがさらにマイナスになるなど)するだけです。

 ETFREITの買入れ枠拡大も、中央銀行の金融調節の枠組みを逸脱しているため賛成はできません。要するにどういう組み合わせでも、ここで追加金融緩和を行う意味は全くなく、日本経済にとって「弊害」でしかありません。

 さてここからが日銀の金融政策に対する「思い切った」提言です。

 「追加緩和がなければ円高・株安となるため追加緩和せざるを得ない」と考えるのではなく、全く逆説的に日銀保有国債純増ペースを年間80兆円から40兆円に「一気に」半減させ、マイナス金利をやめて日銀当座預金をすべてゼロ金利にするべきと考えます。

 単に追加緩和を見送っただけでも円高・株安になるなら、ここは「思い切って」金融政策を少しでも正常な姿に戻すべきと考えます。どうせなら日本経済に「弊害」が少ない金融政策に戻すべきです。ただし「だらだらした修正」は不安を引きずるので「一気に」修正する必要があります。

 それでも日本を含む世界の金融市場が超緩和状態であることには変わらず、金融市場の混乱は比較的短期間で終わるような気がします。先月の英国EU離脱でも(これは英国経済にプラスとは考えられませんが)すぐに英国株が上昇してポンドも反転しています。

 もはやカンフル注射的な金融政策に頼っていれば日本経済の体力を奪うだけであり、ここは一刻も早く正常な金融政策に戻す必要があると「強く」感じるからです。