魔窟(東京)の宴はいつまで続く? その2

 昨日の続きですが、本日(8月31日)小池都知事は記者会見で豊洲新市場への移転を正式に延期しました。いよいよ「魔窟の支配体制」との戦闘が開始されたわけですが、どう考えても説明のつかない5884億円の総工事費にメスを入れなければ全く意味がありません。

 さて本日は2020年・東京オリンピックについてですが、これは逆に魔窟・東京が開催地でありながら主導権を握れていない不思議な構図です。

 まずオリンピックとは、国際機関でも何でもなく単なる非政府組織(NGO)の非営利団体(NPO)に過ぎない国際オリンピック委員会(以下、IOC)が主催する「巨大なライセンス事業」です。要するに「オリンピック」という名前を使わせて巨額収益を稼いでいますが、なぜかNGOでありNPOなのでどこからも課税されません。

 現在のIOCとは、ヨーロッパ貴族を中心に世界各地のスポーツマフィア(本誌の造語ですが、スポーツを食い物にするワルのことです)が牛耳る魔窟で、FIFAほどの腐敗度ではないものの決してクリーンではありません。

 IOCはオリンピックに関する巨額スポンサー収入と巨額放映権収入を独占し、開催地にその半分を還元しますが、会場建設を含む運営費はすべて開催地の負担となります。つまりIOCがオリンピックを開催するわけではなく、その経費は各委員の出張費くらいです。

 IOCのスポンサーにはいろいろなクラスがあり、最上位のトップ・パートナー企業(12社)には日本企業が3社(ブリヂストンパナソニックトヨタ自動車)入っています。トップ・パートナー企業の負担額は未公表ですが、2015年に2024年までの契約を締結したトヨタ自動車の負担が総額2000億円と言われています。

 また放映権は毎回高騰しており、先日のリオ・オリンピックの放映権料はNHKと民放各社が組むジャパンコンソーシアム(JC)が360億円を支払っていますが、なぜか電通がここでも巨額の仲介手数料を得ています。JCの負担は全体の10%強なので、IOCに入る放映権収入はその10倍近いはずです。

 これに対して開催地が100%負担する運営費用は2012年のロンドンオリンピックは93億ポンド(1.3兆円)といわれており、差し引きではかなりの赤字だったようです。先日のリオ・オリンピックの収支は未公表ですが(不明金が多く永遠に公表できないと思いますが)、2020年の東京でも運営費がどんどん膨らみ、早くも2兆円とも3兆円ともいわれています。

 じゃあ誰が勝手に膨らませているのでしょう?

 東京オリンピックの日本における実働部隊は、形式的には日本オリンピック委員会(会長は元皇族の竹田恆和氏、以下JOC)ですが、実際には東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)がすべてを取り仕切っています。

 この組織委員会とは、2020年の東京オリンピック開催決定を受けてJOCと東京都により一般財団として設立され、2015年1月1日から公益財団法人に指定されました。この組織委員会の会長は森喜朗元首相、財布を握る事務総長が元大蔵省事務次官の(日銀総裁になりそこなった)武藤敏郎氏、唯一の「マーケティング専任代理店」が電通です。

 またIOCの規定で開催都市を擁する国(つまり日本)のIOC委員(つまり竹田恆和氏)が組織委員会の理事(副会長)に加わっていますが、何の権限もありません。またオリンピックを開催する東京都は若干名の職員を出向させているだけで、これも何の権限もありません。

 この組織委員会の権力構造とは、新国立競技場建設やエンブレム選定などすべてに口を出して混乱させている森会長、財布を握る旧大蔵省、そしてIOC をはじめ世界のスポーツマフィアにコネがある(と言っている)電通が利権を分け合う構造でしかありません。

 しかしどう考えても組織委員会が勝手に膨らませる運営費は兆円単位で不足するはずですが、それではその不足分は誰が補てんするのでしょう?

 それは主催者である東京都となります。新築する国立競技場のように大きなハコものには一部国庫負担がありそうですが、最大の問題は最終的に不足金を負担する東京都が、勝手に金を使う組織委員会(具体的には森会長、旧大蔵省、電通)に何の影響力もないことです。

 これは明らかに東京開催決定後の猪瀬・舛添両知事の怠慢です。怠慢というより自分も利権に首を突っ込もうとして吹っ飛ばされたわけですが、本来の責務である予算の歯止めと負担金分担などに全く手を付けておらず、あっという間に組織委員会に主導権を奪われてしまいました。これを小池都知事がひっくり返そうとしても森会長は「もっと勉強していただきたい」とせせら笑っているだけです。

 不思議なことに「魔窟(東京)の支配体制」が表面的には何の不満も示していませんが、これは組織委員会という「小魔窟」との間で、しっかりと棲み分けの構造が出来上がっているからと考えます。

 魔窟・東京都とは、かくも厄介なところなのです。