本当に大丈夫なのか?と心配になるほど支離滅裂な日銀の「総括検証」

 日銀が9月20~21日の金融政策決定会合でまとめる異次元緩和の「総括検証」の内容が、少しずつ漏れ伝わってきています。

 黒田総裁となってからの日銀は、就任直後の2013年4月の「異次元」量的緩和、2014年10月の追加量的緩和、2016年1月のマイナス金利導入では「本当にちゃんと検討したのか?」と心配になるほど唐突・大胆な決定が多かったのですが、これも「総括検証」の結果か事前に少しずつ市場に情報を広めるようになったようです。

 その内容は、今後の金融緩和の軸にマイナス金利政策の深堀り(マイナス金利幅の拡大)を据え、国債購入では長短の金利差拡大を促しマイナス金利の副作用に配慮するとなっています。

 ここのところメルマガ「闇株新聞 プレミアム」や、9月14日付け「追加緩和はまだ可能?その2」で繰り返し書いてきた通りの内容です。

 これは「当たったでしょう?」と自慢しているわけではなく、黒田総裁を含む旧大蔵官僚の習性である「絶対に間違っていたとは言わない」と「かといって身内の銀行の収益だけは確保する」などを理解しておけば、簡単に導き出される答えです。

 要するに9月20~21日の政策決定会合では、すでに300兆円をこえている日銀当座預金残高のうち10~30兆円だけにマイナス0.20%を適用し、日銀の国債保有残高を年間80兆円増加させる現行の量的緩和は維持するものの25年以上の超長期国債の買入れを減らし、中期国債をその分増やすことになるはずです。

 日銀の当座預金に対しては、これからも200兆円以上の残高についてはプラス0.1%の金利が支払われるはずで、ここには大手銀行分が多く含まれます。ところがマイナス0.2%が適用される10~30兆円の当座預金はほとんどがゆうちょ銀行と信託銀行分で大手銀行分はありません。

 さらに日銀が購入する超長期国債を減少させることにより20~40年国債利回りがさらに上昇し、10年国債利回りもゼロ近辺か若干のプラス圏に浮上するものと思われます。そして10年超の国債利回り上昇は貸出金利を上昇させ、銀行の収益を支えることになります。

 せっかくの「総括検証」なので、もう少し「なるほどなあ」「これなら少しくらいは効果があるかもしれない」とたまには感心するような政策変更にしてほしかったのですが、本誌でも「簡単に読めてしまう」ものでしかないようです。

 また依然として金融政策の目標を「2%の物価上昇目標を堅持」としたままですが、さすがに2013年4月の「異次元」量的緩和導入から3年半が経過しているため、当初の「2年で実現」は撤回するようです。

 これも過ぎてしまったものの「間違っていました」とは言わないため、知らん顔して撤回するだけです。

 さて金融緩和の軸にマイナス金利の深堀り(マイナス金利幅の拡大)を据えるといっても、それはたかだか10~30兆円の日銀当座預金残高に適用されるだけの「誤魔化しのマイナス金利政策」でしかありません。

 ただ銀行預金金利や短期金融市場における調達金利などをすべてマイナスにしてしまうことも不可能で、結局は「誤魔化しのマイナス金利の深堀り」でしかなく、実際の経済活動にそれほど大きな効果があるとも思えません。

 何度も繰り返していますが、マイナス金利政策とは(誤魔化しでもそうでなくても)現金の価値が最も高いという金融政策で、強烈なデフレ効果と円高効果となります。

 そこで「2%の物価上昇目標の堅持」としたままで、物価を押し下げるデフレ効果と円高効果しかないマイナス金利を金融政策の軸に据えるという「大いなる矛盾」を平然と掲げていることになります。

 さらにそこに身内の銀行のために長期金利を引き上げる政策が加わります。そもそも量的緩和とは日銀が長短の国債をまんべんなく購入し、金利体系(イールドカーブ)全般を押し下げ、経済活動を活発化させるためだったはずです。

 それを今度は身内の銀行のために貸出金利に反映される長期金利だけを上昇させる方針に切り替えたわけです。

 要するに表題の、本当に大丈夫なのか?と心配になるほど支離滅裂な日銀の「総括検証」となるわけです。