近づく米国大統領選で考えてしまうこと

 いつも書いていますが米国大統領選挙の予備選(候補者選び)はスタートダッシュで、本選は投票1ヵ月前の米国内事情(世界情勢ではありません)で決まります。

 現時点ではまだ2ヵ月弱ありますが、今回の大統領選挙は民主党公認候補VS無所属候補の争いなので、一応は民主党の組織やポンサーの支援を受けるヒラリー・クリントンが圧倒的有利という構造はすでに出来上がっています。

 ドナルド・トランプは共和党候補ですが、共和党の組織やスポンサーがそっぽを向いたままであり、無所属候補と変わりがありません。

 つまり大統領選挙はこれから激戦州を中心にテレビコマーシャルを集中的に投入する必要があり、ここからは資金力の争いとなりますが、トランプ陣営は完全に金欠病になっています。

 直近の世論調査ではトランプが再び急追しており、重要州のフロリダ州オハイオ州では逆転しているとも伝えられています。ヒラリーも米国では相当に嫌われており、そこに最も出てきてほしくなかった健康問題まで露呈してしまったからです。

 しかしやはり最終的には、組織力の差で民主党候補のヒラリーが無所属候補のトランプに「かなりの差」をつけると考えています。

 ただヒラリーでもトランプでも、通商政策は「内向き」あるいは「国内産業保護」、金融政策は「ドル安」と「緩和維持」、財政政策は「ばらまき」と、大変に似ています。

 外交面でも、ヒラリーが明らかな親中国、トランプが中国との距離感が不明であるところが唯一の違いで、基本的には「ややこしいところにはクビを突っ込まない」オバマと似たものとなります。

 中東でもイニシアティブをとることはなく、原油価格は低迷したままとなりそうです。

 こうやって並べてくると、向こう4年間の(ヒラリーでもトランプでも1期だけと考えます)米国の問題点がはっきりと浮かび上がります。

 それは財政赤字の急拡大とドル安政策の組み合わせは、どこかの時点でドル不安・ドル離れとなる可能性があることです。

 実は米国の連邦債務残高は、1981年のレーガン就任時点は1兆ドル弱で、そこからレーガン、ブッシュ(父)、クリントンの20年間で5兆ドルになりました。

 ところがそこからブッシュ(息子)の8年間で10兆ドルを超え、たぶんオバマの8年間で20兆ドルに到達するはずです。
 
 つまり現在の米国連邦債務の75%(15兆ドル)はブッシュ(息子)とオバマという「たった2人」の大統領時代に積み上げられたことになります。

 そこで次に登場するヒラリーは(トランプでも)少なくとも緊縮財政にするとは全く言っておらず、トランプは相変わらず大減税をぶち上げています。大統領選本選がまだまだ接戦になると、自分のことしか考えないヒラリーは安直に減税を公約にしてしまうはずです。

 一方で米国の経常赤字は年間5000億ドルを超えています。多少の保護貿易貿易赤字が減少しても、ドル安・金融緩和・財政赤字拡大を安直に続ける、どこかでドル不安・ドル離れを引き起こさないとも限りません。

 基軸通貨・ドルの信認が揺るいだ時の世界経済・金融の不安は想像がつきません。

 そうなる前に日本は、円の価値を棄損させるだけの量的緩和やマイナス金利政策など「さっさ」と止めて緩やかな円高政策に切り替え、いざというときドルから逃げる資金の受け皿にならなければなりません。

 米国が保護貿易に向かわなくても世界の貿易量はとっくに増加ペースが鈍っているため、ここは円安にして貿易で稼ぐのではなく、緩やかな円高で円資産と日本経済の価値を引き上げ世界の投資資金を集める方向に早急に切り替えるべきです。

 世界的に低成長であるなら、円高で日本の経済規模を膨らませる方がはるかに簡単なはずだからです。しかし今週(9月20~21日)の日銀政策決定会合は、相も変わらず緩和強化・円安促進となってしまいそうです。
ブログ上で、その旨をお知らせいたします。