なぜマイナス金利政策は円高要因なのか?

 さて日銀の「総括検証」を含む政策決定会合があった昨日(9月21日)はFOMCも開催されましたが、大方の予想通り利上げなしとなりました。ただその後のイエレン議長の記者会見では、依然として年内の(実質的に12月のFOMCしかありませんが)利上げを示唆するものでした。

 本誌はいつも書くように「だったらさっさと利上げしてしまえばよい(少なくともその後の不安材料がなくなるから)」と考えるのですが、そこは「利上げだ、見送りだ」と騒いでいるだけで高給がもらえる評論家やエコノミストの類(たぐい)が失業しないようにFRBも考えているのかもしれません。

 さて日本では本日(9月22日)は休日ですが、海外市場で朝方の円相場は一時1ドル=100.14円と久々の100円に急接近していました。もちろんFOMCが利上げを見送ったこともありますが、日銀の政策決定会合直後の昨日午後には一時1ドル=102.78円まであったため、最近では珍しい急変動となります。

 円相場については本年6月末頃から1ドル=100~104円の狭いレンジに収まると予想していますが、これは「絶対にそのレンジ内にいる」ではなく、仮に上下に外れても比較的短時間にレンジ内に戻るというものです。6月30日付け「現在のドル円相場は安定ゾーン」に書いてあります。当時は1ドル=100.50~104.50円でしたがその後に微修正しています。

 そう考える根拠は、2013年4月からの「異次元」量的緩和民主党政権時代の「行き過ぎた円高・株安」が完全に終了した2014年1~8月のレンジであり、その次にどちらに行くにしてもしばらくはそのレンジで安定するはずだと考えるからです。

 したがって休み明けの明日、あるいは来週のタイミングでは100円割れの円高は仮にあっても短時間であり、またレンジの1ドル=100~104円に戻ると考えています。

 それではせっかく日銀が「総括検証」で少なくとも緩和期間の延長を決めたのに、円安になるとも思っていないのか?ですが、全く円安になるとは考えていません。

 それどころか(まだ大丈夫だとは思いますが)そろそろレンジの円高に接近したときは、レンジを外れてもっと円高になる可能性を「ほんの少しだけ」意識して臨むべきと考え始めています。

 つまり「安定期間」の次は「円高」とほぼ決めていますが、そのタイミングがわからないだけです。一応年内は「安定期間」が続くと考えていますが、昨日の日銀の「総括検証」とりわけマイナス金利政策の期間延長こそ、「安定期間」が円高方向に破られる十分な理由になると考えているからです。

 長期金利(10年国債利回り)をゼロ近辺に「釘づけ」することは、少なくとも10年までに国債利回りがゼロ以上にならないように「釘づけ」するということで、これを「オーバーシュート型」に継続するということは、いつまでたっても10年までの国債利回りがゼロ以上に上昇しないことを意味します。

 そう書くと(以前から同じようなご質問をいただいていたのですが)マイナス金利政策といえども金融緩和の強化であるため、円安要因ではないか?と考えられるかもしれません。

 短期金利だけのマイナス金利なら、(現在の日本では考えにくいのですが)長期の資金需要が出てきて長期金利(長期国債利回り)が上昇する可能性がないわけではなく、そうなると経済活動もある程度は活発化していることになります。

 ところが10年国債利回りまでゼロ近辺で「釘づけ」してしまうということは、10年までの国債利回りがプラスにならないということになり、10年まで貸出金利もマイナスにはならないものの上昇しないことになります。それは10年までの資金を借りて事業などに使ってもほとんど利益が出ないということにもなってしまいます。

 つまりもともとマイナス金利政策とは、それが短期金利に限られていた時でも現金の価値が最も高くなる(つまり物価を下落させる)デフレ政策であり円高政策だったのですが、それを10年まで延長したことになり、そのデフレ効果・円高効果が加速されることになってしまいます。

 もちろん日本経済にとっても「究極の大不況政策」となりますが、最もその効果が早く表れるのが為替市場であると考えます。株式市場には利下げ効果と資金余剰効果もあるため、すぐに下落することにはなりません。

 日銀が(短期金融市場だけの)マイナス金利の導入を発表する前日(1月28日)の円相場は1ドル=118円台であり、発表直後は緩和強化ということで121円台となっていたものの、2月中旬にはすでに112円台だったことを思い出す必要があります。