日本発の韓国企業・ロッテを巡る闇

 ロッテグループの不正疑惑を捜査しているソウル中央地検は本日(9月26日)、グループ創業者の辛格浩(日本名・重光武雄)氏の次男で、韓国ロッテグループ会長の辛東琳(日本名・重光昭夫)氏に対する逮捕状を請求しました。

 以下、なじみのある日本名で書くことにしますが、重光昭夫氏はすでに身柄を拘束されているようで、裁判所は28日までに逮捕状の発布に関する判断を下すようですが、逮捕を免れることはなさそうです。

 検察は重光昭夫氏が、創業者一族を韓国および日本のグループ各社の役員にして、何の仕事もしていないにもかかわらず巨額の給与を支給し、また業務上の便宜を図ったことが特定経済犯罪加重処罰法上の横領に当たると判断しているようです。

 ここで問題にされている(何の仕事もしていない創業者一族)とは、重光昭夫氏の実兄(長男)の辛東主(日本名・重光宏之)氏と、実父で創業者の重光武雄氏の愛人の徐美敬氏とその娘のことであり、計500億ウォン(45億円)の給与を不正に支給して韓国ロッテグループに損害を与えたとされています。

 さらに重光昭夫氏は、この徐氏が運営するロッテシネマ内の店舗等への発注を巡り、韓国ロッテグループに770億ウォン(70億円)の損害を与えたとされています。要するにこれら親族に便宜(温情?)を与えた容疑ですが、その便宜(温情?)を受けた実兄の重光宏之氏や創業者の重光武雄氏への捜査状況は不明で、さらにその愛人の徐氏親子に至っては全くの無罪放免となるようです。

 ただ同じく重光昭夫氏にかけられていた巨額裏金や政官界への巨額賄賂については、当然のように証拠不十分で容疑から外されています。8月26日に韓国ロッテグループ副会長の李仁源氏が自殺(?)してしまった影響もあるようです。

 まあ韓国の政官界や検察や裁判所が寄って集ると(たかると)こういう結果になるようですが、ただ日本と韓国のはざまで急成長したロッテグループについては、もう少し解説しておく必要があります。

 ロッテグループとは、在日韓国1世の重光武雄氏(94歳)が1948年に創業したロッテホールディングス(旧社名・ロッテ)を中核とする企業グループで、日韓国交正常化の1965年に韓国にも進出しました。

 日韓とも非上場会社ですが、2014年の日韓連結売上高は6兆5000億円、営業利益2300億円、総資産8兆9000億円の巨大企業グループです。しかし売り上げの9割以上が韓国内であるもののグループの持ち株会社は日本のロッテホールディングスという構造です。

 つまり韓国から見ると、韓国でも第5位の企業グループでありながら、資本は日本企業(ロッテホールディングス)に握られているという「非常に面白くない企業グループ」となります。

 日本のロッテホールディングスの主要株主はもちろん重光一族ですが、重光武雄氏の2人の息子の宏之氏、昭夫氏は共に日本で生まれ育ち、2人とも日本語しか話せませんでした。

 武雄氏は宏之氏を三菱商事、昭夫氏を野村證券でそれぞれ武者修行させ、ゆくゆくは長男の宏之氏に日本ロッテグループ(グループの持ち株会社であるロッテホールディングスを含む)、次男の昭夫氏に韓国ロッテグループを継承させる方針だったようです。

 2009年に宏之氏はロッテホールディングス(日韓グループの持ち株会社)取締役副会長となり(会長は武雄氏、社長は外部から招聘した佃孝之氏)、昭夫氏も韓国ロッテグループの取締役会長となり、事業継承が進み始めたように見えました。

 昭夫氏はそのころから韓国語を一生懸命勉強して話せるようになりましたが、まだ発音が「日本的」であると揶揄されています。また宏之氏はいまだに韓国語を話せません。

 ところが2015年1月に宏之氏が突然にロッテホールディングス副会長をはじめ各社の役員を解任され(武雄氏が解任したといわれています)、同年7月には昭夫氏が韓国ロッテグループ会長のままロッテホールディングス副会長となり、同時に武雄氏をロッテホールティングス名誉会長に祭り上げて実質的にグループの実権を握ってしまいました。

 これだけだと重光一族の骨肉の争いとなるだけですが、そこへ韓国政府が一気呵成にグループの持ち株会社であるロッテホールディングス(れっきとした日本企業ですが所有者は重光一族)を国有化してしまおうと政官界や検察や裁判所までが結託しているような気がします。

 なんでも「日本が憎い」韓国だからですが、そもそも日本の中堅菓子メーカーにすぎなかったロッテが、なんで韓国でそこまで大きくなれたのかについては謎のままです。

 日本の儲けを韓国につぎ込んでいたとしてもとても足りなかったはずです。その辺の闇も明らかになるかもしれませんね。