ここまでやるのか?美濃加茂市長に逆転有罪判  その2

 11月29日付け「同題記事」の続きです。そこにも書いたように本誌がこの顛末にこだわる理由は、東芝不正会計を絶対に刑事事件化しないという検察庁の「強い意志」を名古屋高等裁判所が「斟酌した」としか考えられないからです。

 この名古屋高等裁判所の「奇怪な」判決理由は、美濃加茂市長・藤井浩人被告の弁護人である郷原伸郎氏のブログに詳しく書かれているので読んで頂くとして、本日は11月29日付け記事に頂いたコメント(ご質問)にお答えすることにします。

 まず「贈賄側の証言だけで有罪になるなら、甘利元大臣が不起訴になったのはおかしいのでは?」ですが、これは証言があろうとなかろうと、またその証言に信憑性があろうとなかろうと、全く違ったレベルで有罪か無罪か、あるいは起訴か不起訴かが決められるため、あまり意味のない議論となります。

 決算における不正会計の金額だけを比べてみても東芝は2300億円をこえており、刑事事件化したオリンパスが最大で1178億円、刑事事件化プラス即刻の上場廃止となったライブドアはたった53億円でした。不正金額の大きさと刑事事件化とは何の関係もないことと同じです。

 次に「昭和HD、般若の会、レノは結局どうなったのか?」です。

 APF(代表・此下益司氏)による昭和ホールディングス買収については「真っ黒」な取引だらけですが奇怪なことに刑事事件化せず、課徴金40億円が課せられましたが当然のように逃げ切られ、APFも2016年2月に破産しています。抜け殻にされた昭和ホールディングスはまだ上場しています。

 般若の会というより加藤あきら氏とその親族は金融商品取引法違反(相場操縦など)で起訴され、2016年6月から裁判が始まっています。完全否認なので時間が少しかかりますが、粛々と有罪判決となります。

 レノも同じような金融商品取引法違反(相場操縦など)の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けましたが、こちらは検察庁と今一つ足並みが揃っていないようで、まだ何の動きもありません。強制捜査ではなく強制調査となっているのは、検察庁が最初から加わっていなかったからです。

 この3つを並べただけでも、刑事事件化とそうでない境界線が明確でないことがわかります。

 さらに「東芝の扇会は、この問題(東芝は刑事事件化しない)に関係があるのか?」です。東芝扇会とは、もともとは社内の共産党分子の「炙り出し」を目的にしていたはずで、歴史のある財閥系企業にはすべて似たような組織があったはずです。

 古い話ですが1949年の松川事件(列車転覆事件)は、付近にあった東芝松川工場の組合潰しのための「壮大なでっちあげ事件」ですが、それにも扇会が暗躍していた可能性があります。また現在も扇会が活動しているのかなどはわかりません。

 扇会には警察OBがいるとされていますが、それもよくわかりません。この扇会の存在が今回の不正会計が刑事事件化されない原因ではありませんが(もちろん何の抑止力にもなりませんが)、長年警察OBを受け入れていたならその「功績」が考慮されていることはあるかもしれません。

 さらに「東芝の不正会計がまた新たに明らかになったが、それでも刑事事件化しないのか」ですが、答えはもちろん「何の関係もありません」となります。

 これは東芝が11月11日の2016年4~9月期決算発表時に公表した5億2000万円の「過去の不正経理」のことで、2015年9月に公表した2248億円、2016年3月に追加した58億円に続く3回目の公表となります。

 つまり東芝の不正会計とは、まだまだ全貌がよくわからない「現在進行形の事件」のようですが、もちろんあと何回出てきても金額がどれだけ追加されても刑事事件化しません。全く違ったレベルでそう決まっているからです。

 また11月28日付けダイヤモンド・オンラインに「東芝がまた不正会計 ついに管理銘柄入りか」との記事が出ていますが、もちろん東証もその辺の事情は十分に認識しているため現在の形式的でしかない「特設注意市場銘柄」への指定も、時期がくれば何の問題もなく外されます。

 最後に「怖すぎるよ」とのコメントも頂いていますが、「全くその通り」です。