ECB、FRB、日銀、年内最後のそれぞれの金融政策 その1

 12月8日に開催されたECB理事会では、来年3月までとされていた量的緩和を来年12月まで9か月延長し、買入れ額を月間800億ユーロから600億ユーロに減額しました。

 政策金利短期金利)は現行の、上限0.25%、基準ゼロ、下限マイナス0.40%を据え置きましたが、買い入れる国債年限を最低2年から同1年にするとともに、従来マイナス0.40%としていた国債買入れの最低利回り制限を撤廃しました。

 もともとマイナス利回りである年限の短い国債をもっとマイナス利回りでも買い入れる一方で買入れ総額を減額したため、長短金利差が拡大して域内金融機関の収益が拡大し、EU経済の底上げも期待できます。

 それを受けて現地時間本日(12月12日)朝方のドイツ国債利回りは、2年国債がマイナス0.75%、10年国債が0.39%、30年国債が1.21%と、実際に長短金利差(利回り差)が拡大しています。長短金利差は経済活動あるいは投資活動のインセンティブとなります。

 また今週の12月13~14日に開催されるFOMCでは、政策金利であるFF翌日物誘導金利を現在の0.25~0.50%から、それぞれ0.25%上昇させるはずです。トランプの経済政策への期待からか、現在の米国債利回りは2年国債が1.15%、10年国債が2.51%、30年国債が3.20%と、まだまだ上昇中です。

 米国大統領選の直前の週末(11月4日)には2年国債が0.78%、10年国債が1.77%、30年国債が2.56%だったため、さすがに政策金利短期金利)を引き上げて利鞘を縮小させインフレとバブルの芽を摘んでおく必要があります。経済活動あるいは投資活動のインセンティブがすでに過剰になっているからです。

 トランプはまだ大統領ではないため、FRBもここは遠慮なく利上げに踏み切っておかないとさすがに批判を浴びることになります。

 つまりECBは長短金利差を拡大させて金融機関の収益拡大を通じてEU経済を回復させ、FRBは市場が先走って長短金利が上昇してしまったため政策金利を引き上げて全体的にブレーキをかける必要があり、それぞれ妥当な(FOMCはこれからですが)金融政策の変更あるいはイールドカーブ・コントロールとなります。

 

 さて来週の12月19~20日に日銀の政策決定会合が開催されます。日銀は9月21日の「総括的な検証」で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利の代表である10年国債利回りをゼロ近辺に誘導すると発表していました。

 先進国で政策金利短期金利)を1つしか発表しない中央銀行は日銀くらいで(昔の公定歩合の名残です)、日本の政策金利短期金利)は正確には上限0.1%、基準ゼロ、下限マイナス0.1%のはずです。日銀はいまだに200兆円ほどの当座預金残高に0.1%の利息を支払っています。

 ということは日銀が誘導する金利水準とは、短期金利(基準)がゼロ、長期金利(10年国債利回り)もゼロという、世界金融史でも珍しい「のっぺらぼう」のようなイールドカーブを目指していることになります。

 「総括的な検証」の本音は、すでに物理的な限界が近づいている量的緩和の縮小であり、それはそれで正しい選択です。問題はそう説明せず国債利回りが目標から外れて上昇すると「いくらでも」国債を買い入れて利回りを低下させるとしたところです。日本では常に国債暴落(利回り急上昇)をヒステリックに喧噪する「専門家」が多いため、配慮したのでしょう。

 つまり日本では信用リスクなどを極端に取らなければ、調達した資金でも自己資金でも10年間運用して(あるいは新規投資して10年間かけて)利益が全く出ない経済であり、しかもその状態を何が何でも維持すると内外に公表してしまったことになります。

 大変に後講釈ですが、円安の芽はここから始まっていたことになります。こんな国に海外から誰も投資せず、日本の資金もどんどん海外に流出してしまうからです。

 そこに「予想外」だったトランプが次期大統領となり、その経済政策期待かインフレ期待かはともかくとして米国長短金利が急上昇し、一気に円安・ドル高が加速してしまったことになります。

 それでは12月19~20日の日銀政策決定会合では、何をどうすればよいのでしょう?

 明日に続きます。