徴兵制度を復活するスウェーデン

 スウェーデンのフルトクビスト国防相は3月2日、2010年7月に廃止した徴兵制度を2018年1月から復活させると発表しました。

 毎年18歳になった男女国民からアンケート調査で13,000人を選び、そこから4000人に11か月間の兵役を課すというもので、女性は今回初めて対象となります。

 報道では、2014年にクリミアを併合したロシアの軍事的脅威が増しているからとか、スウェーデンNATO北大西洋条約機構)に加盟していないため自国民だけでロシアの脅威に対峙しなければならないなどと伝えられていますが、やや大袈裟です。

 スウェーデンではもともと徴兵制度と志願兵制度を併用しており、徴兵制度の廃止中も18歳の国民(男子だけ)から毎年4000人の志願兵を徴用していました。ところが最近は志願兵だけでは4000人に満たないようになったため、2010年以前のように徴兵制度を併用するようにしただけです。

 つまりロシアの軍事的脅威が増したため慌てて徴兵制度を復活させるわけではありません。しかしこの徴兵制度復活を巡りスウェーデンの国会が紛糾したとも、国内で反対のデモが行われたとも聞きません。国土防衛のために当然であるとスウェーデン国民が(すべてではないかもしれませんが)自然に理解していることになります。

 それはそれとして、現在でも世界には徴兵制度がある国はたくさんあります。最新のデータではないので変わっている可能性もありますが、主な国だけ挙げてみます。また志願兵制度と併用している国も含めます。

 欧州では1991年の冷戦終了後にフランスやドイツなどが徴兵制度を廃止しており、残るのはフィンランドノルウェーデンマークギリシャ、ロシア、それに永世中立国のスイス、オーストリアです。

 中東ではトルコ、イスラエル、イランなど、アフリカではエジプト、アルジェリアスーダンなど中央アフリカの国のほとんど、中南米ではメキシコ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジルなどです。 

 

 アジアではタイ、ベトナムミャンマーシンガポール、韓国、北朝鮮(何と10年!)などです。中国は一応、志願兵制度との併用で徴兵制度があるようですが、志願兵だけで必要人数を満たしているので徴兵制度が発動されることはないそうです。

 さてこのスウェーデン徴兵制度復活のニュースは、もう少し「いろんな意味で」国内の注目を集めると思っていました。ところがマスコミは連日のように金正男暗殺事件に加えて森友学園の国有地払い下げをワイドショー的に(やじ馬的に)垂れ流すだけで、スウェーデン徴兵制度復活など全く見向きもされなかったようです。

 2015年の集団的自衛権を含む安保関連法案を巡り、国会では連日のように「徴兵制度が復活する」などと見当はずれの議論が繰り返されていましたが、もちろんそんな議論をまた聞きたいわけではありません。当時の反対派は徴兵制度など「どこかの独裁国家だけの制度」とでも思っていたようですが、もちろん全く違います。

 しかし現在の国会では法案審議そっちのけで連日のように森友学園の「どうでもよいような議論」を繰り返すだけで、2015年の安保法案成立時よりさらに低俗化しています。

 まさに金正男暗殺事件で北朝鮮を巡る軍事的緊張が各段に増大している中で、今こそ日本の国土防衛についてもっと真剣に考えなければならないタイミングであるはずですが、そう伝えるマスコミもありません。実際に今朝(3月6日)には北朝鮮からミサイルが4発も日本海方向に発射されましたが、全く「他人事」のように報道されているだけです。

 今こそ国土防衛に限らず国際政治における日本の「在り方」について真剣に考えるべきタイミングですが、そんな中で国会やマスコミが一層低俗化していることになります。

 スウェーデン徴兵制度復活の話題から、だいぶ外れてしまいましたが、このままでは「日本は大丈夫なのか?」と本気で心配になっています。