シリアをミサイル攻撃したトランプの思惑とは?(臨時版)

 トランプ大統領は米国東部時間4月6日夜(日本時間7日午前)、国際法上で禁止されているサリンなど化学兵器を使用したとしてシリアの軍事施設に対し、米軍に攻撃を命じたと発表しました。

 地中海東部に展開する米海軍駆逐艦2隻から発射された59発の巡航ミサイル「トマホーク」が、アサド政府軍の支配下にあるシャイラート空軍基地を攻撃しましたが、命中は20発ほどだったようです。

 バッシャール・アル=アサド大統領のシリア政府といっても首都・ダマスカスを含むシリア西南部一帯を支配しているだけで、その周辺(とくに北部)の反政府勢力と2011年の「アラブの春」以来、6年にわたる内戦状態となっています。

 またその内戦に乗じてシリア北部や東部はテロ組織が自称イスラム国(ISIS)を「建国」し、さらにその北部のトルコ国境沿いはクルド人が支配している分裂状態で、欧州を目指す大量の難民が出ています。

 アサドのシリア政府軍が4月4日に、今回の米軍による攻撃対象となったシャイラート空軍基地を起点として反政府勢力地域に化学兵器を使った攻撃を行い、子供を含む多数の一般市民が犠牲になったとされています。

 もともと軍事クーデターで政権を掌握したハーフィズ・アル=アサドの次男で医者(眼科医)だったバッシャール・アル=アサドは、後継者と目されていた兄の急死で2000年に大統領になっていましたが、もともと国を率いる能力も胆力もありません。

 猜疑心が強くすぐにパニックとなり過激な行動(化学兵器の使用)に走るところは、金正恩と似ているかもしれません。

 トランプ大統領は、これでアサドの化学兵器を使った攻撃能力が弱まり、米国を含む全世界の危険が和らげられると主張しています。これが攻撃の大義名分であり、すでに日本、英国、ドイツ、フランス、トルコ、サウジアラビアなどが支持を表明しています。

 ところがアサド政権は、ロシアとイランが支援しており、とくにロシアのプーチン大統領が今回の攻撃で米国を激しく非難しています。トランプ大統領は選挙中からイスラム国(ISIS)に対抗するためにはアサドと(支援している)ロシアとの距離を縮めるべきと主張していたため、そこから180度の方向転換となります。

 米国はロシアに攻撃2時間前に「通告」していたようですが、プーチン大統領は「明確な侵略行為で国際法違反であり、米ロ関係に深刻な悪影響を与える」と警告しています。間違いなく中東を含む世界の政治バランスに大きな変化が加わるはずです。

 アサドは2013年にも反政府勢力に対して化学兵器を使用した疑いがありますが、この時は「アサドは一線をこえた」としてシリア空爆を表明していたオバマ大統領(当時)がロシアの圧力で直前に引っ込めてしまいました。トランプ大統領は「私は違う」と行動に踏み切ったことになります。

 ところでトランプ大統領は米中首脳会談(4月6~7日)の開催中に、習近平国家主席が目の前にいるフロリダの別荘でシリアへの攻撃命令を下し、発表したことになります。米中首脳会議の主要議題である北朝鮮対策でも優位に立とうとしています。

 今回のシリア攻撃の伏線だったかどうかは不明ですが、国家安全保障会議NSC)の主要メンバーから首席戦略官のスティーブ・バノンが外され、現職の陸軍中将でもあるハーバート・マクマスター国家安全保障担当補佐官の立場が強化されました。

 側近優遇のトランプ政権内でも権力闘争が続いていることになりますが、今後の(すぐ後の)北朝鮮対策にも影響を与える可能性があります。

 さてここから先は4月10日(月曜日)夕方に配信予定のメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で、最新状況も加えて徹底的に解説します。

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