「今年はバブル元年」ではなかったのか?について

 本誌は昨年末から今年初めにかけて「今年はバブル元年」と書いてきました。ちょうどその頃は、大統領就任前のトランプの経済対策への期待からドル高と世界的な株高となっていた時期でしたが、そう考えた理由はリーマンショック以降の世界的な金融緩和・量的緩和の効果は経済活動に向かわず、ますます本格的に投資活動に向かうと感じたからです。

 つまりトランプの出現により米国だけではなく世界的に経済活動が活発化して、株式や不動産などの価格が上昇すると考えたわけではありません。むしろ逆でリーマンショック以降の世界経済の趨勢的な成長鈍化は止まらず、それを見て世界的な金融緩和・量的緩和は想定以上に継続されることになり(FRBが多少利上げしても歴史的には超低金利のままです)、想定以上に溢れ返る資金が世界の株式市場などに一層流れ込むと感じたからです。

 つまり「バブル」になるための条件は「世界の経済活動が想定ほど活発化せず世界的な金融緩和・量的緩和が想定以上に継続されること」であり、逆に「バブル」にならない条件は「世界の経済活動が想定以上に活発化して世界の金融緩和・量的緩和が本当に終焉してしまうこと」と考えます。

 「バブル」とはもちろん株式市場だけで膨らむわけではありませんが、不動産市場や商品市場は鈍化する世界経済に影響されるため、すぐに「バブル」にはなりにくいはずです。

 それに対して株式市場は各国の高収益企業の「集合体」であり、いくら低金利だといっても自分で設備投資をして事業収益を追及するより「はるかに楽で高い収益が期待できる」ため、真っ先に「バブル」になるはずです。

 じゃあ昨年までは(より正確にはトランプが当選するまでは)世界の株式市場はバブルではなかったのか?ですが、その通りバブルではなかったはずです。

 その理由は2つあり、1つは世界の経済活動が本格的に活発化しなければ(その通り活発化していません)株式市場もそれほど上昇しないという「過去からの固定観念」にとらわれていたこと、もう1つはリーマンショック以降も世界は何回も「イベント=突発的な悪材料」に見舞われ、その都度大きく下落していたからです。

 リーマンショック以降の「イベント」は経済問題だけに限っても、2度のギリシャショック(ギリシャだけでなくアイルランドポルトガル、2度目となった2012年7月にはスペイン、イタリアにも飛び火)、2度の中国ショック(2015年8月と2016年1~2月、ともに人民元の急落・中国からの外貨流出に伴う経済不安拡大)、英国ショック(もちろん2016年6月のEU離脱)、それにトランプの出現も当初は「イベント」と考えられていました。

 ただこういう「イベント」が続いているうちに、世界の株式市場は同じように下落するものの、2016年になるとだんだん下落幅が少なく下落時間も短くなり、いつの間にか高値を更新するようになっていました。それだけ世界の株式市場はイベント(悪材料)に対する耐性が備わってきたことになり、それも「そろそろバブル」と考えた理由でした。

 ここまでが昨年末から今年初めにかけて「今年はバブル元年」と考えた理由です。そして本年に入ってからの日経平均終値)は、1月4日の19594円をやっと3月13日の19633円で上回ったと思えば、今週初めの4月17日には18355円の本年最安値となり、本日(4月18日)も18418円となっています。

 確かに北朝鮮情勢が今も緊迫していることや、トランプ政権がとくに内政面でもたつき早くも期待感が剥げ落ちていることや「ドルは高すぎる」と言い出しているからですが、こういう「言い訳=後講釈」ではなく、より冷静になって考えてみます。

 繰り返しですが「バブル」になるための条件は「経済活動が想定ほど活発化せず金融緩和・量的緩和が想定以上に継続されること」です。そして米国経済は早くもトランプの経済政策への過剰な期待感が剥げ落ち、FRBの利上げペースも「本年あと2回」から「せいぜい1回」あるいは「ゼロ」となり、FRBの資産縮小も年内は見送られると考えます。2.6%まで上昇していた米10年国債利回りもすでに2.2%まで低下しています。

 つまり米国経済に限らず日本も含む世界経済はさらに「バブル」になるための条件を満たしていることになり、今回の世界の株式市場の調整も短期間・小幅であるはずです。

 日本の株式市場については、それに加えて北朝鮮情勢という「もう1回あったイベント」に見舞われていることになり、極端な状況となればさらに下落するかもしれません。しかしそこも昨年から続く世界的な傾向である「イベント」に対する耐性が備わっていると考えるべきで、仮に調整(下落)が急激であればそれだけ反発も早いはずです。

 日本の株式市場については、経済活動が本格的に活発化しそうもないことに加えて、日銀が長期金利(10年国債利回り)をゼロ近辺に「釘付け」して上昇を食い止めているため、もっと直接的に「バブル」になるための条件を満たしていることになります。

 つまり日本の株式市場はイベント(北朝鮮情勢の緊迫化)がもう1回あったため、スタートラインが少し後退したものの、さらに「バブルになる条件が揃ってきた」と考えます。