北朝鮮の最新情勢をこう考える

 明日(4月25日)は朝鮮人民軍創建記念日であり、北朝鮮が核実験やミサイル発射などの過激な行動に出れば、それをきっかけに米軍との軍事衝突となり日本にも少なからずの影響が出ると懸念されています。

 北朝鮮の報道官も「日本列島が沈没しても後悔するな」とか「米国空母など一撃で海に沈める」など、盛んに挑発しています。

 本日(4月24日)午前には安倍首相とトランプ大統領が電話会談を行い、直後にトランプ大統領と習近平国家主席が電話会談を行いました。それぞれかなり長い時間をかけた真剣な内容だったようです。

 また本日、首相官邸はメルマガで「身を守るためにとるべき行動」を確認するよう呼びかけ、同じような懸念のあった4月15日の金日成生誕記念日よりはるかに緊張感が高まっています。

 それでは実際のところ、どうなるのでしょう?安直な推測は避け、正確に伝わっている事実だけをもとに考えてみましょう。

 まず北朝鮮の核実験は(4月15日時点でも)準備ができているはずです。そうなると原発の運転停止と同じで止めるには高度の技術が必要となり、要するに実験してしまうしかありません。つまり明日(4月25日)に強行するかどうかはともかく、核実験は近日中に「必ず行う」と考えておくべきです。

 この核実験の目的は、実際に大陸間弾道ミサイルICBM)に装填した核弾頭が、高度1000キロから飛んでくる際に発生する高熱に耐えられるかどうかのテストのはずで、米軍も核実験直後の大気を採集する軍用機を待機させて最大限の注意を払っています。

 またミサイルについては米国本土まで届く大陸間弾道ミサイルICBM)はまだ完成しておらず、併せて米国本土が直接核などで攻撃されるリスクはいまのところゼロです。ここがゼロでなくなった瞬間にトランプは「必ず」軍事行動に出ますが、今のところそういう状況ではありません。

 つまり北朝鮮が核実験を行う可能性は非常に高いものの(4月25日ではなさそうですが)、それだけで米国が軍事行動に出る可能性もほとんどないと考えます。

 ただ日本まで届くミサイルはもちろん開発済みで100発程度は同時発射できるはずです。そうなると現状の迎撃システムでは対応できませんが、北朝鮮がこれまで日本海に向けて発射したミサイルは、実際に爆薬が装填されていません。

 明日を含む近日中に日本海(あるいは日本本土もしくは在日米軍基地)に向けてミサイルが発射される可能性は「大変に高い」と考えますが、今回から急に爆薬を装填して発射するとも思えず、それほどパニックになる必要はなさそうです。

 余談ですが、北朝鮮は韓国との国境(38度線)近くに1000発の短距離ミサイルをソウルに向けて装備しているといわれていますが、これに本当に爆薬が詰められているかどうかがわかりません。何しろ韓国と北朝鮮朝鮮戦争終結させておらず休戦しているだけですが、まあ本当に爆薬が装填されているとは思えません。

 さて本日の安倍・トランプ、トランプ・習近平の電話会談後のコメントやニュースを聞く限り、トランプは依然として習近平金正恩を「抑える」ことに期待しており、習近平北朝鮮の生命線である原油輸出を止めることも辞さないようです。

 ただこの「微妙なバランス」をついてロシアが北朝鮮に接近しており、習近平も(仮に金正恩体制が倒れても)北朝鮮における優位的立場は絶対に譲れないため(トランプはそれを容認している)、ここでロシアが出てくることは波乱材料となります。

 また4月14日付け「北朝鮮の命運を握る瀋陽軍区とは?」に書いたように、北朝鮮国境に近い中国人民解放軍瀋陽軍区(現・北部戦区)は朝鮮系民族が多く、また江沢民勢力下にあり、さらに経済制裁中の北朝鮮との密貿易で財力を蓄えており、習近平がほとんどコントロールできていません。

 中国は北朝鮮からの石炭(品質が最悪の褐炭で中国大気汚染の元凶)輸入をストップしているはずですが、どうもその石炭を積んだ船舶が中国に向かっていたようで、これも瀋陽軍区の密貿易が続いているような気がします。

 本誌は早くから北朝鮮情勢については「最大限警戒しなければならない」と繰り返し主張してきましたが、話し合いで状況が改善することは「絶対に」不可能であるものの、米中露の思惑も一筋縄ではなく、結局のところ金正恩体制が居残ってしまうような気がしてきました。

 問題が先送りとなるだけです。