嫌な感じしかしない安倍首相の加計学園問題

 森友学園はほとんど無視した本誌ですが、その理由は問題が大きくならず、安倍首相周辺に疑惑が広がらないことに「ほぼ確信」があったからです。その理由は安倍政権と財務省という「2強」が相手だったからです。

 そして森友学園問題が朝日新聞の記事によって騒がれ始めた2月中旬から、安倍首相を攻撃するなら加計学園問題ではあるものの、その「小型版」である森友学園で止まり、加計学園にまで波及しないことにも「ほぼ確信」がありました。

 ところが5月17日に再び朝日新聞が、加計学園が経営する岡山理科大学が「特区」に獣医学部を新設するにあたり、特区を担当する内閣府が、手続きを渋る文科省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「安倍首相のご意向である」などと早期の対応を求めたとする文書の存在を報じ、再び騒ぎが大きくなりかかりました。

 また朝日新聞は翌18日、日時と氏名が記載された文書を、そのまま掲載しています。国会内では再び民進党など野党議員の攻撃が始まりました。

 この時点からすでに、このリーク元は文科省の前川喜平・前事務次官であることが「ほぼ特定」されていました。前川氏は文科省天下りあっせん問題で本年1月に辞任しており、3月には停職相当の懲戒処分を受けています(文科省幹部の処分は全部で43名)。

 これに対しては官邸側も5月22日の読売新聞を通じて前川氏の人格攻撃(出会い系バーに頻繁に出入りしている)をリークするなど、一気に低レベルの騒動になっていました。

 そして本日(5月25日)、その前川氏が記者会見して、文書の存在や官邸からの圧力を認める内容の記者会見を行いました。

 明らかに「もう失うものがない」前川氏の反撃が始まったわけですが、その文書を巡っては(森友問題でも同じでしたが)民進党など野党の攻撃が「あまりにも稚拙」であるため、しびれを切らしたご本人の登場となったようです。

 さて何が問題なのでしょう?

 そもそも加計学園問題とは、安倍首相が長年の友人である加計孝太郎理事長に「便宜」を図ったとされているところで、50年以上新設されていない獣医学部を特区である愛媛県今治市に開設することを条件に認可されたことを指します。

 確かに時価37億円相当の土地が無償譲渡されていることや、建築費等の新設費用の半分に当たる92億円が今治市から供与されるなど、たしかに「やりすぎ」の感はあります。

 ただ何で獣医学部が50年以上も新設されなかったのかとの「問題」もあるはずで、その認可をずっと拒んできたのが文科省となります。そもそも新設が必要な獣医学部を新設させていなかったのか、もう必要もない獣医学部補助金込みで新設させたのかを、冷静に考えてみる必要があるはずです。

 もし本当に獣医学部の新設が必要であったなら、50年ぶりに新設させた安倍首相の働きかけは(仮にあったとしても)何の問題もないはずです。まさか安倍首相がこれで何かの便宜を受けているとは考えられないからです。

 民進党は、獣医学部の新設に抵抗し続ける獣医師連盟の利益を代表する玉木雄一郎幹事長代理に、わざわざ国会で攻撃させるなど相変わらずの稚拙続きです。

 しかし5月17日以降の官邸の対応も「大変に不十分」でした。菅官房長官も「怪文書の類(たぐい)にコメントする必要はない」とか「前川氏は地位に連綿とする人物だと聞いている」などと繰り返すだけで、まさか前川氏がここまで攻撃してくるとは想定していなかったようです。

 要するに最大の問題は、加計学園に便宜を図ったかどうかではなく、問題をここまで拡大させてしまった安倍政権の「おごり」にあります。

 現在の日本に絶対必要な共謀罪法案(正確には組織犯罪処罰法改正案)は5月23日に衆議院本会議で可決されており、ここで参議院での審議がストップしても時間が経過すれば自然成立となるため、辛うじて間に合ったことになります。まあこの問題もあるため駆け込んだことも事実のようです。

 しかしトランプ政権のロシアゲート疑惑と同じようなもので、ここから1つ間違うと安倍政権の足元がすくわれてしまう恐れもあります。この内外の情勢が複雑化している中で、政治の停滞は絶対に避けなければなりません。

 そこが明らかに「揺らいだ」と感じたため、本日は予定を変更してさっそく記事にしました。予定していた「ソフトバンク・ビジョンファンド」はまた別の機会に書きます。