ますます悪い方向に進んでいるとしか思えない東芝

 昨日はお休みしてしまいましたが、やっぱりどうしても気になる東芝についてです。東芝の現経営陣は相変わらず「目先」で「安直」なことしか考えておらず、その周りには「保身」で汲々とする勢力しか見えていないからです。

 本誌は東芝については3月末の米子会社ウェスティングハウス(以下、WH)破産法適用申請直後から、「オール日本」の損得で考えるべきと強調しています。それは破産法適用申請で「オール米国」を敵に回してしまったためWHの損失は果てしなく東芝本社に押し付けられ、虎の子の半導体事業は徹底的に買い叩かれる結果にしかならないからです。

 本来なら民間企業である東芝の行く末を「オール日本」で考えるとは見当はずれな議論ですが、このままだと東芝だけでは辻褄を合わせられなくなり、その負担は「オール日本」にツケ回されるはずだからです。

 東芝の現経営陣はとっくに当事者意識を失っており、ここにきてその「オール日本」に含まれるはずの銀行団、経産省産業革新機構東証などが、それぞれ「保身」に汲々としてバラバラに動いているため、本日の表題となるわけです。

 その半導体事業の売却は、確か海外から複数の買い手がいるものの、まず「オール日本」として売却すべきかどうかを考えなければならないはずです。そもそも半導体事業の売却は、1兆円規模の貸出し残高のある銀行団がパニックになっているからと、2018年3月までに債務超過を解消しなければ上場廃止になるからという「目先」の理由からでしかないからです。

 東芝独自の「試算」では2017年3月末で5400億円の債務超過となっていますが、その解消のためと銀行団のパニックを抑えるためだけに、虎の子の半導体事業を海外に何が何でも売り飛ばすというのも「目先しか見ていない安直すぎる判断」となります。

 仮に上場廃止となっても半導体事業を中心に必死に経営を建て直し、銀行団に対してもしっかりとした返済計画を提示してパニックを抑えるという判断もあるはずで、それなら(もう遅いですが)3月末に連結対象から外すだけの目的でWHの破産法適用を申請して「オール米国」を敵に回す必要もなかったはずです。

 すべて東芝の現経営陣が「目先」だけにとらわれ、その時々で「安直」な判断をしているため、結果として東芝はますます泥沼にはまり込んでいくことになります。

 その「安直」な半導体事業の売却ですが、確かに複数の買い手がいるため東芝の現経営陣でも「簡単にできる」作業となり、こういう時だけ何が何でもと頑張ってしまいます。

 こういう時こそ前面に出るべき官業(官民ではありません)ファンドの産業革新機構は、最初はKKRに頼って体面だけ保つためだけに巨額資金(注)を提供しようとしていたところ、最近は半導体事業の売却を国際仲裁裁判所に差し止めている(買い叩くための作戦です)ウエスタンデジタル(WD)にその資金を提供しようとしている節操のなさです。

(注)産業革新機構の投資資金は、3000億円の出資金のうち2860億円が政府分(つまり国民負担)で、さらに1兆8000億円の借入れに政府保証がつけられており(つまり国民負担となる可能性があり)、こういう時こそ「オール日本」のために頑張らなければならないはずです。まあ産業革新機構の現在の志賀俊之CEOこそ、日産自動車ルノーに食い尽くされるままに放置した張本人で、そもそも「オール日本」でモノを考えられる人ではありません。

 さらに2005年に「すでにボロボロになっていたWHの民間原子力事業」を英国核燃料会社(BNFL)から日本企業に買収させようと躍起になっていた経産省は、そんな責任など全く忘れて、今度は東芝半導体事業売却でも指導的立場を維持しようと躍起になっています。

 もちろん銀行団は資金回収のために半導体事業を一刻も早く売り飛ばせとの大合唱であり(まあ民間企業なので理解できないわけではありませんが)、東証は何とか自ら引き金(上場廃止)を引かないように優遇措置を次々に繰り出しています。ここまで東証が甘やかせたことも、東芝が経営危機となった理由の1つです。

 その東証は、3月に東芝から再提出された特設注意市場銘柄から抜け出すための改善報告書の審査結果をそろそろ発表しなければなりません。ただ東証は3月に、審査結果が出るまでと東芝監理ポスト(審査中)に割り当ててしまったため、そこで不合格ならその段階で上場廃止整理ポスト割り当て)としなければなりません。今ごろ必死に「そうしないための言い訳」を考えているはずです。また甘やかせてしまうわけです。

 かくして東芝現経営陣の当事者意識の決定的欠如と、「オール日本」であるはずの各勢力それぞれの「保身」が相まって、東芝はますます悪い方向に進んで行くことになります。