ビットコインなど仮想通貨について改めて考える  その1

 本日(6月6日)午後10時前、ビットコイン価格が2900ドル台となりました。もちろん史上最高値です。

 この時点におけるビットコイン時価総額は475億ドル(5.2兆円)となり、イーサリアム、リップルなども合わせた仮想通貨全体の時価総額も1030億ドル(11.3兆円)となっています。

 本誌は以前も今も仮想通貨については懐疑的ですが、さすがにここまでくると「どうなっているのだろう?」と考えてみる必要があります。そこで本日だけでは書ききれないので2回に分けますが、とりあえず説明はビットコインが中心となります。

 そのビットコインは2009年に「登場」していますが、当時は1ビットコイン=0.01ドル(つまり1円)ほどだったはずです。単なるネット上のデータでしかなく、そこに経済的価値がなかったからですが、この基本的構造は今も変わらないはずです。

 それでもビットコインは2011年頃から徐々に決済手段として使われるようになり、需要増から価格も上昇し2013年の初めには12~13ドルとなっていました。さらに2013年夏に中国最大のECサイトである百度バイドゥ)がビットコインでの決済を一部認めたことから中国人の猛烈な投機買いとなり、同年10月に200ドルを突破し、11月には一気に1200ドルとなりました。1年弱で100倍になったことになります。

 ところが2013年12月に中国人民銀行が中国の金融機関のビットコイン使用を自粛させ、百度も使用を停止したため価格は下落に転じましたが、それでも2014年の初め頃でも700~900ドルと、1年前に比べれば明らかに高止まったままでした。

 ところがこの中国人が登場するまでのビットコインの決済使用は、どうも犯罪取引の資金決済が中心だったようです。FBIは2013年10月に世界最大の闇サイトである「シルクロード」を摘発し、運営者のロス・ウルブリヒトを逮捕しています。シルクロードビットコインが登場した2009年頃から決済手段に利用して荒稼ぎしていたようです。

 さらにFBIはその「シルクロード」や類似の闇サイトで使用するビットコインを「匿名」で手当てするサービス(つまりビットコインロンダリング、手数料が9%だったようです)の大手業者も摘発し、かなりの量のビットコインを「押収」しています。この頃はビットコイン=犯罪事業の資金決済手段というイメージでした。

 さらに2014年2月には、世界最大級のビットコイン取引所だったマウントゴックス(東京都渋谷区)が85万ビットコイン(のちに74万ビットコインに修正、それでも当時の600ドルで計算して440億円)と現金28億円が「なくなってしまった」と発表したため、ビットコインの特性の1つである安全性(盗まれないという意味)が根底から崩れてしまい、価格も2016年初めまで200~400ドルと低迷します。

 このマウントゴックスのマルク・カルプレス社長(当時)は、ビットコイン価格が10ドル前後だった頃から預かっている顧客のビットコインを盗み出していた「単なるコソ泥」で、それが思わぬ価格急騰で顧客の売却や引き出しに応じられなくなっただけでした。
 しかしビットコイン価格は昨年(2016年)春頃から再び上昇となります。400ドル前後から昨年末には960ドル、そして本年(2017年)3月初めには1300ドルとなり、2013年11月の高値を更新していました。

 この時期は中国からの資金(外貨)流出を止めるために中国政府がさまざまな資本規制をかけていた時期と符合しており、一応は外貨と交換性のあるビットコインに逃避資金が集中し、それを見た中国人がさらに投機目的で群がったための価格急上昇だったようです。

 その最高値を更新した直後に米金融当局がビットコインに連動するETFを認可しなかったため3月には一時は900ドル割れとなりましたが、4月に入ると再び上昇スピードを加速させ5月25日には2700ドルを突破し、一時1900ドルまで下落したものの、すぐに再加速して本日は2900ドル台となったわけです。

 ここにきて「買いの本尊」は中国人だけではなく、明らかに日本人が加わっています。その理由は日本で本年4月1日から改正された資金決済法が施行され、ビットコインを始めとする仮想通貨全般に「法整備らしきもの」がかけられたからです。

 実際は仮想通貨の取り扱い・交換を行う業者を「仮想通貨交換業者」として金融庁への届出を義務づけただけです。届出を義務づければマウントゴックスのような「コソ泥」が出ないだろうとか、犯罪事業の資金決済にも利用させないだろうなど、明らかに性善説に基づく考え方です。

 ただそれで日本政府(金融庁)がビットコインを始めとする仮想通貨全般にお墨付きを与えたような印象となったため、中国人と並んで日本人が「買いの本尊」に登場したことになります。

 その是非はともかくとして、次回(たぶん6月8日付け)ではビットコインを始めとする仮想通貨の本質的価値や構造的問題点、それにここまで来たら日本政府として本当に取り組むべきことなどを考えます。