ビットコインなど仮想通貨について考える  その2

 6月7日付け「同題記事」の続きです。ビットコイン価格はちょうどその記事を配信した頃の2922ドルが高値となりましたが、本日(6月8日)も2800ドル近い値動きとなっています。

 したがって仮想通貨全体の時価総額も1000億ドル(11兆円)が維持されており、この1000億ドルとはアップルの時価総額のここ3か月半の増加額と同じです。そう考えるとたいしたことがなさそうですが、仮想通貨の時価総額はほとんど昨年(2016年)春から1年ほどの間に積み上がっているため、やはり無視できない存在となっています。

 さて本日は、そもそも仮想通貨の「価値」とは何か?から考えます。やはり代表的なビットコインで説明します。

 ビットコインは「採掘」と言われるコンピューター上の作業に対して新たに発行されています。この作業とはビットコインの安全性確保や(盗まれたり消えたりしないという意味です)、管理作業や(取引データの記録・保存作業)、さまざまなシステム構築のためのもので、日銀でいえば紙幣を印刷する輪転機や日銀決済システム(日銀ネット)の運営費のようなものです。

 確かに「採掘」があるため、ビットコインはどこの国家や団体に所属しなくも運営が可能となり、それによって無国籍通貨として世界中どこにいても決済できるという特性は維持されていますが、それでビットコインの「価値」が形成されているわけではありません。

 つまりビットコインでもその他の仮想通貨でも、それ自体には何の価値もない単なる電子空間のデータでしかありません。確かに無国籍通貨として世界中で自由に決済できるとしても、19世紀初めにスタートした金本位制における金のように「それ自体に価値がある」わけではありません。

 そういうと1970年代に金に代わって基軸通貨となったドル紙幣も、ほとんど世界中で決済に使えるものの、ドル紙幣自体には何の価値もないではないか?となります。

 ドル紙幣そのものは、FRBが購入した米国債を裏付けに発行する小口・無記名・無利息の国債担保付き債券ですが、ドル紙幣をFRBに持ち込んでも米国債に交換してくれず、そもそも米国債は無担保の「借用証書」にすぎません。

 じゃあ日本は(中国もですが)そんな怪しげなドルを外貨準備として後生大事に抱えているのか?となれば、その通りとなります。ましてや日本では(中国は知りませんが)そのドルの外貨準備を米国政府の許可なしに勝手に売却することもできません。

 少し見方を変えますが、日本人がビットコインを取得する時は当然に円を売ってビットコインを買うため、円の流出となります。また外国人が日本の製品やサービスを購入してビットコインで支払えば、当然に財やサービスの流出となります。どちらの場合も日本にビットコインが積み上がります。
 
 これはビットコインがドル(あるいは米国債などドル資産)に代わっただけではないか?となりますが、せいぜい価値が年間2~30%変動するだけのドルに比べて、つい4年前の2013年初めには12~13ドル、つい1年前の2016年春に400ドルだったビットコインが、3000ドル近いところで円(円資産)や日本製品やサービスと大量に交換され日本に持ち込まれていることになり、決して気持ちの良いものではありません。

 ドルも基本的には同じではないか?となりますが、ドルは米国の通貨であり基軸通貨でもあるため、米国が自国の利益のために必ずその価値や信任を守るという安心感はあります。リーマンショック時もなりふり構わずドルの信認維持に奔走していました。

 ビットコインは無国籍なので、いざとなれば誰もその価値や信任を守るために奔走せず、あっという間に放り出して「新しい仮想通貨」を始めることになるだけです。

 ここまでくると日本政府も、わざわざ金融庁がお墨付きを与えて超高値となったビットコインを日本に積み上げるだけではなく、自らが胴元となって新しい仮想通貨を作り出し、創業者利得(正確には仮想通貨発行益)を日本の福祉等に還元する方法を考えるべきです。少なくとも日本の富が日本以外の仮想通貨発行益となって消えてしまう事態だけは回避しなければなりません。

 別に特別難しいわけではなく、日銀とは別に仮想通貨発行体を作り、銀行決済システムを通さずにネット上の自由な決済を認め、犯罪事業への関与だけはチェックする監視体制を整え、その後の仮想通貨発行量を年間2%程度に抑え、その発行益の一部を商店やホテルなどに還元して利用を促進し、さらに一部を発行体の運営費やシステム構築に使い、残りを社会福祉に充てれば誰も文句は言わないはずです。

 突き詰めれば社会福祉の財源確保の一形態ですが、それを超高値のビットコインを争って購入して日本国外に流出させている富と置き換えるだけです。

 この仮想通貨の最初の発行量と売り出し方法だけは工夫する必要がありますが、そこを一生懸命考えても実現するわけでもないため、この辺にしておきます。

 名前?「アベ・コイン」はどうでしょう?冗談を言っているわけではなく外国人にも発音しやすいからです。