タカタがやっと民事再生法適用を申請

 欠陥エアバック問題で経営が悪化していたタカタは6月26日、国内グループ企業とともに東京地裁民事再生法の適用を申請し、受理されました。また米国子会社のTKホールディングス(ミシガン州)も同日に米連邦破産法11条の適用を申請しています。

 タカタは、スウェーデンのオートリブ社に続く世界第2位のエアバック、シートベルト、チャイルドシートなど自動車安全装置メーカーであり、どの自動車会社の出資も受けない完全独立の経営を守ってきました。

 ところがタカタ製のエアバックが2009年5月に米国で最初の関連死亡事故を起こし、現在までに米国を中心に死者16名、負傷者が180人超となっています。リコール対象のエアバックが全世界で1億個を超え(まだ未回収が4000万個あるようです)、ホンダ、トヨタ、フォード、日産、VWなど自動車メーカーが立て替えているリコール費用総額が1兆3000億円とも言われています。

 これらはもちろん最終的にはタカタの負担となります。また本年1月には米国司法省と10億ドルの和解金を支払うことで合意しており、そのうち自動車メーカー(米国のメーカーだけです)への8億5000万ドルの支払い期限が2018年2月までとなっていることが、今回の直接の「引き金」となったようです。

 タカタの2017年3月期の最終損失は795億円と3期連続の最終赤字となり、3月末現在の純資産が331億円まで落ち込んでいましたが、これは主に受注減による経営悪化でリコール費用の支払いはほとんど終わっていません。

 つまりタカタは遅かれ早かれ破綻することが確定的であり、また負債額が巨額で債権者も多岐にわたることから法的整理が必然となっていましたが、今でも発行済み株式の約6割を所有する創業家および創業家の高田重久会長兼社長が株式価値の残る私的整理に拘り続け、グズグズしているうちに決定的に事態が悪化してしまいました。

 タカタについては昨年発足した外部専門委員会がスポンサー先の選定に着手し、当初は世界最大のオートリブ社、プライベート・エクイティファンドでも世界最大のKKR、カーライルなどが興味を示していましたが、私的整理に拘る創業家の存在に早々と撤退してしまい、最終的に本年2月に中国の寧波均勝電子傘下の米キー・セイフティ・システムズ(以下、KSS)が残りました。

 しかしその「支援スキーム」とは、タカタ負担するリコール費用などすべての債務は切り離し、KSSが設立する新会社がタカタの「健全事業」だけをわずか1750億円で買収するという「ほとんど意味のない」もので、肝心の1兆円を超えるリコール費用などをどう捻出するかなどは全く議論されていないお粗末なものでした。

1750億円くらいなら「あの」産業革新機構でも出せるはずで、民事再生法適用申請をきっかけに白紙に戻してしまうべきです。

 さてタカタとは1933年に彦根で創業した織物会社ですが、1974年から2007年まで社長を務めた2代目の高田重一郎氏の経営手腕が、タカタを世界第2位の自動車安全装置メーカーに押し上げました。

 しかしその子息の高田重久氏はとても「経営者の器」ではなく、経営はスカウトしてきた外国人社長と重一郎氏時代からの番頭役員に委ねられ、2011年に亡くなった重一郎氏の未亡人も経営に口を出す状態となっていました。

 2014年12月にはリコール問題の責任を外国人社長だけに押し付けて解任してしまい、創業家を代表して会長となっていた重久氏が社長を兼任することになり、余計にタカタは迷走を始めることになりました。

 最近でこそ重久氏が記者会見などに出てくるようになりましたが、ちょっと前まではほとんど重要な場面にも登場せず、米国議会の公聴会も欠席していました。

 さてこういう状態でありながらタカタの株価は最近まで500円近く、時価総額も400億円ほどという「不思議な水準」を維持していましたが、6月16日に日本経済新聞が「民事再生法 月内にも申請」と報じたため連日ストップ安の比例配分となり、6月22日にやっと4675万株の出来高を伴い110円となりました。

 ところが翌23日には逆にストップ高の160円(出来高3297万株)となったところに正式の民事再生法適用(週明けの26日)となり、本日(28日)は35円(出来高5922万株)となっています。最終取引日となる7月26日までマネーゲームは続きそうです。

 いずれにしてもタカタは創業家支配が世界第2位の自動車安全装置メーカーを「消滅」させてしまった典型例として記憶に残ることになりそうです。